フランス文学

le sujet surpasse le disant

スタンダールはその自伝的作品、『アンリ・ブリュラールの生涯』の最終章で、自分が経験した愛について語ることのむずかしさを訴えている。自分が最も愛するものについて語ることの困難さ・不可能性というテーマはのちにバルトが取り上げることでも有名だが…

Voyage

この愛想のいい土着民が教えてくれた言葉を私が反復しようとしたとき、その土着民は叫んだ。「おやめなさい。ひとつの言葉が使えるのは一度だけです」。 ボッツァロ『旅』(アントワーヌ・コンパニョン著, 『第二の手、または引用の作業』, p.127, 今井勉訳)…

フランス・ルネサンスの文明

ルネサンスというと、様々な碩学たちが現れてギリシアやローマの古典の再興に尽力した、輝かしい知の時代というイメージだが、ここで示される姿は、それを否定するとまでは言わなくとも、それとはまたちがった一面を見せてくれる。まず冒頭からして当時の人…