2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

Voyage

この愛想のいい土着民が教えてくれた言葉を私が反復しようとしたとき、その土着民は叫んだ。「おやめなさい。ひとつの言葉が使えるのは一度だけです」。 ボッツァロ『旅』(アントワーヌ・コンパニョン著, 『第二の手、または引用の作業』, p.127, 今井勉訳)…

阿呆船

まず皮切りに一踊り。 積んだ書物は山ほどあるが とんと読みゃせぬ分かりゃせぬ。(p.20, 尾崎盛景訳) ブラントの『阿呆船』ではまず最初に「無用の書物のこと」と題された章があって、いわゆる積ん読が揶揄されている。この章が最初にあるのは著者であるブ…

フランス・ルネサンスの文明

ルネサンスというと、様々な碩学たちが現れてギリシアやローマの古典の再興に尽力した、輝かしい知の時代というイメージだが、ここで示される姿は、それを否定するとまでは言わなくとも、それとはまたちがった一面を見せてくれる。まず冒頭からして当時の人…

Controversiae

大セネカのControversiaeが意外と面白い。この本では当時弁論の練習として行われていた模擬裁判弁論から、様々な弁論家の印象的な論じ方を集めているのだが、その際弁論家の人となりについて紹介することもあって、そこがなかなか楽しく読める。例えば、アル…